A アメリカやイギリス等の先進国では、災害時の安全・安心確保のほか、各地域での人材・機材の確保、各地域での基幹ネットワークの構築等による地域経済の活性化等の観点から、景気等に左右されることなく、一貫して公共事業費を一定水準確保し着実に社会基盤整備を行っています。日本では、公共事業費について、時の政策、状況により大きな増減があり、特に地方の雇用や経済に悪影響を与えました。今後、高度経済成長期に整備した公共施設の老朽化対策やミッシングリンクの解消、首都直下地震、東南海地震への対応、日本海国土軸の形成等、やるべき公共事業はたくさんありますが、平成14年以降の大幅な縮減の中、現在の公共事業の水準では適切な対応が難しい状 況となっています。民間活力の活用や維持管理の効率化等に努めつつも、最低限現在の公共事業費の水準は維持し、可能な限り増額させた上で一定水準を安定的に確保できるよう努めてまいります。
B 公共事業に加え、農林水産業の活性化も、国と地方の再生に必要不可欠です。アメリカのような農産物の純輸出国でさえ、GDPに占める農林水産予算の割合は約1%もある(食糧安全保障を重要な国益と捉え、国内農家に手厚い補助を行うことで世界の食糧市場をリード・操作しているのです)中、日本では0.4%程度です。地方に根付く農林漁家が、農山漁村コミュニティを守りつつ国の食糧の安定供給、食の安全安心に多大な貢献をしている状況に感謝しながら、食糧安全保障をより適切に行ってまいります。海外への輸出増加も視野に、農林水産業でも所得がきちんと稼げて、担い手もしっかりと存在する社会の構築に努めてまいります。また、地域コミュニティの維持が難しい状況となっている中山間地域での生活環境全般の向上にも努めてまいります。
C 持続可能な国づくり、地域づくりには、少子高齢化対策も欠かせません。約10年後の2025年には、団塊の世代がすべて75歳以上となり、国力の低下が避けられないほか、約25年後の2040年には、日本の人口は、約1億700万人に減少し、高齢化率も3割を超えると推計されています。鳥取県も約44万人に減少し、高齢化率も4割弱になります。人口の減少自体はあまり問題ではありませんが、高齢化率が上昇することは、国力や地域力、社会保障の維持等に悪影響を及ぼします。将来への安心感が持て、そして安心して子供を生み育てられるよう、社会全体でサポートする環境を整備していく必要があります。高齢者の方には年金、医療、介護等の社会保障の安心を、現役世代、特に若い世代には、少子化先進国で出生率の回復を果たしたフランスの諸施策を参考にしつつ、仕事と育児を両立できるよう、育児休業の充実や幼児教育の実質無償化等による少子化・子育て支援策の拡充を図り、併せて、自助、共助、公助を適切に考慮した税財政制度の見直しを行ってまいります。
D @〜Cの政策を適切に行ったとしても、地方の各現場で適切に実施し、運用がなされなければ、そして、効果が行き届かなければ意味がありません。鳥取県のように財政力も経済力も強くない地方団体においても、各地域の実情に応じた行政を適切かつ着実に行うことができるようにする必要があります。こうした状況を実現するためにも、地方団体固有の事務については、国が一律・一方的に義務付け・枠付け等の基準を定めるのではなく、各地域の裁量で効果的・効率的に行うことができるよう、地方分権の推進や地方財政の充実についても適切に取り組んでまいります。