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いつも大変お世話になり、厚くお礼申し上げます。
第189回通常国会は95日間の延長で戦後最長の会期となりました。集団的自衛権の一部を認めることを主な内容とする平和安全法制の審議が未だ参議院で続いています。第2次大戦後の国連の成立ちや枠組み、米国やロシア等の常任理事国が持つ拒否権による機能不全を補完する国連憲章の自衛権の存在、国連軍が派遣されるまでの間の個別的自衛権と集団的自衛権の意義等をはじめ、「憲法第9条は主権国として有する固有の自衛権を何ら否定していない。自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置は、国家固有の権能の行使であり、憲法は何らこれを禁止していない。日本の存立の基礎に重大な関係を持つ高度の政治性を有するものが違憲であるか否かの法的判断は、司法裁判所の審査に原則としてなじまず、一見明白に違憲無効と認められない限り、裁判所の司法審査権の範囲外にある。」との最高裁判決、更には、中国の軍事力増強や領土拡大の野心、日本に10分で到達する弾道ミサイル保有の北朝鮮、国際的なテロ集団や海賊等の脅威を現実的に直視すると、今回の法整備は必要と考えますが、未だ国民に十分理解が進んでいない状況でありますので、引き続き分かりやすく丁寧な説明に努めてまいります。
このほかにも、2020年のプライマリーバランスの黒字化(毎年の予算で借金を返す額以上に借金をしないことを意味し債務残高の減少を実現)に向けた財政健全化計画が6月に政府で策定される等、重要な政策決定が多くなされました。日本は資産大国でもあり、「経済再生なくして財政再建なし、地方創生なくして日本の未来なし」との想いで臨んだ結果、公共事業や農林水産、商工業をはじめ、年金、医療、介護、子育ての社会保障予算、そして地方団体の財源が必要以上に削減されることのない妥当な財政計画に落ち着きました。今後とも、バランスよく経済再生と財政健全化を図ってまいります。
最後に、懸案の参議院選挙制度改革について触れます。人口が少ないとの理由だけで、国に最も近い民主主義の単位として定着した県と県を一括りにし地方の議員を削減する合区については、これまで様々な角度から反論し、最高裁判決をクリアできる前提で、投票率の加味等、政治や選挙への関心を高め、地方創生に資する対案を何度も主張してきましたが、自民党が参議院で過半数を持ってないばかりに、わずか1カ月弱の議論で成立してしまいました。それも国民的議論はおろか、合区対象県の現場の声も聞かないままに。私は参議院の採決の場で退場し棄権しましたが、今でも反対の姿勢は変わりませんし、人口格差と表裏一体である地方の格差にもっと光が当てられるべきと考えています。
ここで、棄権した理由を補足させて頂きます。今回、短期間の議論でしたが、多くの自民党議員が合区反対の意見表明をし、緊急避難的措置として断腸の思いで法案に臨んでいることが分かり、自民党と地方の将来に一縷の望みが持てました。また、採決前に、谷垣自民党幹事長や茂木選挙対策委員長等党執行部から、各県から1人の代表を確実に出せるよう責任を持って対応することや憲法改正に取組むことが明言されました。この状況を踏まえつつも、未だ具体策の提示がなく今後の状況を見極める必要があると判断しましたので、今回の改革法案には処分を覚悟の上、態度保留として棄権した次第です。この問題はまだ終わっていないため、次回の活動報告にて一連のご報告をさせて頂きます。
10年後の団塊世代の75歳以上問題やその後の深刻な人口減少社会を鑑みると、日本の再生に残された時間はそう多くはありません。地方創生の推進のため、地方の実情を法律や予算に一層反映する必要があります。現在の鳥取は、スタバもスナバもその他のアナバもあり今後の成長が楽しみな明るい側面と、深刻な人口減少社会で多くの町村が消滅危機の可能性を抱える暗い側面との両面があり、まさに将来の明暗を左右する分岐点に立っています。こうした時に、いかに鳥取で安定した雇用を作り、鳥取への人の流れを作っていけるか、夫婦共に社会で活躍しながら安心しての絆で皆が地域社会の存続に取り組んでいけるか、周辺や関係のある地域と連携して活性化の取組を行っていけるか等々、やるべきことが実に多くありますが、鳥取と地方の明るい未来を皆様とともに切り開いてまいりたいと思います。
おわりに、日頃の皆様の温かいご支援、ご協力に改めて感謝申し上げますとともに、皆様の益々のご健勝、ご多幸をお祈り申し上げます。今後とも変わらぬご厚誼のほど、何卒よろしくお願い致します。
平成27年6月吉日
参議院議員(鳥取県選挙区) 舞立 昇治
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